藍、あかね、玉ねぎやミカンの 皮などで「青」「 ピンク」「黄」の 基本の三色を煮出し、そこに 豆乳 にしばらく浸しておいた布を入れて染めていきます。藍染はダイレクトでOK。色をかけあわせたり、模様をつけたりは思いのままに。みょうばんなどで色止めをし、干して 乾かしてできあがり。なるべく手に入りやすい材料を用い、家庭でもできるかんたんなやり方を心がけています。染めるものは綿、麻、シルクの天然素材 ならなんでも。シミのついた服、着古した服の染め直しも大歓迎です。染めの 講習 会ではなく、みんなが自分の体験や知恵を持ち寄り、みんなでその「空間の感触」を楽しむ会です。お昼ご飯だけ食べに、染めはしないけどおしゃべりがしたい、子どもといっしょに外遊びしたい、というのでもウェルカム。いつ 来ていつ 帰ってもよいので、ふらりと遊びにきてください。

草木染の会

自然からのいただきもので、遊びながら養生

染めはね。ひと粒で何度も美味しい、普段づかいの養生だと思うんです。薪から火をおこして、その火で植物を煮出して色や香りを楽しみながら、布に染めていく 。染まるのは「草木の薬効」だけではなくて、光や風や匂いといった「空間の感触」とか、「自然の恵みに感謝する心」や、染め直して最後まで大切に使おうという「もったいない気持ち」とか——

同じ薪の火でつくるお昼も楽しい。たとえば、春先ならヨモギのポタージュ。土からできるものでご飯を食べさせてもらっている、という実感がわいてきます。そして、染めの最後には足湯のおまけも。あかねは温める作用があるので、血行がよくなるんです。冬が近づいてくると、靴下を染めにお久しぶりの人がたくさんやってきます。反対に、夏に向かう季節なら、見た目も涼しげで虫除け効果もある藍染が人気ですね。

植物の色には、体を守り、循環させてくれる自然力が満ちている。おもしろいのは、いまお気に入りのオリーブ染の服を着ていると、細々とひっそり動きたくなるんです。縁の下で支える側にまわりたくなるというか、おおらかなやさしい気持ちになれるのが不思議。

草木染の会

私たちは大きな輪のなかにいる

いつでも、どこでも、気軽にできる草木染のワークショップを始めて十数年がたちます。自然のことや暮らしのことを、もっともっと話したかったから。世の中が平和に続いていってほしいから。染めはおしゃべりしながら進められるので、人とのつながりの輪ができるんです。それも、ゆるゆるっとした感じの輪っかが。

いろんな風が吹いてる感じが好き。それも健康の秘訣だと思ってます。新しい風が吹くと気分がよくなるし、懐かしい風がくれば心がホワホワあったかくなる。みんなで染めをして、自分の体も大事にして着る人の体も大事にして、ワイワイやっているだけで、養生の引き出しがどんどん増えていく。地球 からいろんなものをいただいているということも実感できるから、自然の循環システムにも目が向く。

ネイティブアメリカンの人たちがいう「7代先の子孫のことを考えて行動しなさい」という 意味が、染めをやっているとストンと腑に落ちます。みんなでいっしょに気づきあって分かち合える、そんな空間が染めの魅力かな。

たけくまよしこ
Takekuma Yoshiko

草木染の会「空間の感触」主宰。映像作家。

子どもの誕生を機に、映像関係の会社を辞めてフリーランスになる。もともと山登りやキャンプや外遊びが大好きで、薪で火をおこして“自然”を煮出し、子どもといっしょに味や香り、色を楽しむ空間がいつのまにか草木染というライフワークに。かつて住んでいた東京・世田谷では、「もったいないから」「汚れたから」染め直しという、普段づかいの染めの会を実施。おかあさんたちからおおいなる共感を呼ぶ。2016年、家族全員の「ここならいいね」の直感のもと、愛媛県大三島に移住。毎日、いい風が吹く島の古民家で、日の出とともに起き、すぐ目の前にある草や自然のエネルギーをおすそ分けしてもらいながら、「普段づかいの養生暮らし」を満喫している。夫、娘、息子二人の5人家族。強さとやさしさとしなやかさが共存する人。