腰痛、肩こり、関節痛といった痛みや内臓のむくみなどを引き起こす原因に、大きく関わってくるのが背骨のゆがみ。そのゆがみを体操や手技で改善する運動プログラムです。まずは「どこがどんなふうに痛いですか」と聞きながら、背骨の状態をチェック。ゆがんで固まってしまったところを、独自の体操で「ゆるめ」てほぐしていきます。それから「矯正」へ。仙骨の位置を戻す運動などで骨の位置を調整し、背骨から出ている神経の働きを正常にリセット。ラストは「筋力トレーニング」で、背骨を支えている筋肉を鍛えます。個人レッスンではスケルトンの模型を使い、「骨がいま、どんな形にゆがんでいるのか」「どう動かせば元に戻るのか」を目で確かめてもらいながら体操指導しています。みなさん、理屈がわかると納得して、「これなら、続けてやってみようか」という気持ちになるよう。ポイントとなる体操は絵を描いてお渡ししています。日々のセルフケアがいちばんです。
ゆがみはちゃんと元に戻れる
神経は脳から背骨の中を通り、そこからまた、体の隅々にまで伸びているのをご存知でしょうか。その大切な神経系統が、背骨がゆがんでいるとうまく働けなくなり、痛みの原因になることもあるとしたら・・・・・・
私が背骨の重要性に気づかされたのは、偶然、習った整体を、まわりの人にさせてもらっていたのがきっかけです。ヘルニアになった幼稚園の先生がいて、もんでいるときに彼女の仙骨がポコンと出ていたんですね。気になって調べてみたところ、「仙骨のゆがみが背骨をゆがませ、それがヘルニアの原因にもなる」と。その直後に、「背骨と神経、痛みの関係や骨の構造と仕組み」「自分でできるセルフケア体操」などを教えてくれる講座に行き合い、もう目からウロコ。「これで、彼女のヘルニアが治るかも」と、背骨矯正の世界にどんどんのめり込んでいきました。そしたらその体操プログラムで、私の周囲のヘルニアやすべり症で悩んでいた人の痛みがなくなったんです。ちゃんとした理論に基づいて体を動かすので、する側も「痛くなったらどうしよう」という「こわさのロック」がはずれるんだと思います。そうすればしめたもの。体は緊張がとれると、ちゃんと変われるんです。
体操しながら体と会話してみて
私たちの体って、すごく精密にできている。体が動いてくれるのはあたりまえのようでいて、あたりまえじゃない。大事にしないと申し訳ないなって思います。
背骨コンディショニングのプログラムのいいところは、体操することで自分の体と向き合える点。体の変化を人まかせではなく、自分で感じ取り、自分でメンテナンスする。そのお手伝いができることです。社会人の息子が、「要は、人はよくなればいい。病院に行く前に、体のメンテナンスを自分でできるようなシステムが、もっと社会にないといけん。それを母さんはやってるんだから自信をもって」と言ってくれたことがありました。おかげさまで、自分の軸がしっかりできた気がします。
体の痛みや心の痛みを取るためのアプローチはいろいろあっていいと思っています。だから背骨矯正以外にもいろんなことを知っておきたいし、かたまりたくない自分がいる。相手に寄り添い、相手にちゃんと伝わるようなアドバイスができるよう、日々、勉強です。
松本 千広
Matsumoto Chihiro
背骨コンディショニング協会認定インストラクター&パーソナルトレーナー。
家庭に入ったあと、ひょんなことから舞い込んできた機械設計の仕事。「引き受けたからにはやる!」と、徹夜もいとわない日々が続くが、10年たった頃に娘との行き違いや母の認知症などが重なり、悩み始める。2013年、15年勤めた会社を辞めるも、直後に母が亡くなり全身脱力。初めて「自分のために何かしよう」と、たまたま近くにあった整体院の扉を押す。誰かに体をもんでもらうこと、癒してもらうことの心地よさに目覚め、不思議な縁と運に恵まれて、東洋整体蘇生術の初級免許を皮切りに、背骨コンディショニング協会の認定資格を次々、取得。「ゆがむというのは戻れるということ。体は変えられる」という実感のもと、福山を中心に、各地の公民館での教室や個人レッスンに東奔西走。ふわふわっとした癒し口調の指導が筋トレになると容赦なくなるところから、生徒さん評は「鬼やさしい」。愛とパワーあふれる、柳の枝のような人。